備忘:就職活動から感じたこと~人は「コミュニケーション」出来ているのか~

睡眠導入剤を切らして案の定眠れないので、長かった就職活動を通して感じたことを徒然なるままに残しておこうと思う。

 

人は「コミュニケーション」出来ているのか

数多くの面接を熟して思ったこと。

それは、人間のコミュニケーションは往々にして一方通行ということだった。

二人以上の人間の間で、ある一人による情報の発信のみならず、それを他社が受容するところまでをコミュニケーションと定義するならば、だけれども。

 

巷に溢れる面接対策では、よく「面接は対話。スピーチの場ではない」と言ったことを謳っている。

その実、intervieweeにせよinterviewerにせよ、相手の話に返答しているようで、自分の言いたいことしか発していない。

勿論、面接は数千と居る応募者、数万と居る他社の中から自分・自社を選んでもらうアピールの場なのだが、それにしても他人の話をあまりにも聞いていない。

 

なかなか強烈だったのが、集団面接で一緒だった某最上位有名私大の女性。

interviewerの、「何か質問はありますか?」との問いに、

「はい。私の強みは粘り強さなのですが、御社の仕事でも粘り強さが必要な場面が多くあると思います。それを乗り越えたからこそ面接官としてここにいらっしゃると思うのですが、何か、粘り強さが必要だった経験はありますか?」。

質問と言えば質問であるが、恐らく彼女は自分の「強み」をアピールしたことに満足して、面接官の回答などまともに聞いていなかった(少なくとも隣で見ている分にはそう見えた)。

 

示威行為なのか、はたまた自慰行為なのか。

終始この調子で、彼女は聞かれてもいないことまで、さほど上手に論理性を持たせられないまま話し続けていた。

2:2の集団面接で、今思えば面接官も含めて彼女が7割近く声を発していたような気もするが、

私は自己PRの時間を奪われることへの怒りとか焦りとかなんてものは感じておらず、

ただただ、折角難関と言われている大学にまで進んだような人間でさえ、こんなにもコミュニケーションが取れないのだという現実を嘆いていた。

その面接に受かったから良かったものの、我ながら大事な面接中に何を考えていたんだろうと反省はしている。

 

 

自分をぶつけて満足する

「就職活動で一番重要なのは、自己分析」。

これも就職活動をする中でよく耳にすることだが、多くの就活生が思う自己分析は、「私はこういう時にこう感じるこんな人間だ!」を知ることで、何となくそれを言語化出来たところで「私が思う本当の私」をそのまま相手にぶつける。

会話のキャッチボールとはよく言ったものだが、言葉の往来を楽しむ気など無い。

ぶつけるという文字通り、暴力的に、相手の態勢が整っているかも確認せず、受け取りやすいところに投げず、自分の満足のために言葉を放る。

投げた後は知らぬ顔。

キャッチボールする気など無いのだから。

次に自分の言いたいことをぶつけるために、球が返ってくるのを待っている。

 

ぶつかるなら、相手は痛みを伴うが当たっているからまだ良いかも知れない。

とんでもない方向に向かってワイルドピッチしておいて、「さぁ私の言葉を受け止めて!」と言わんばかりに得意顔をしている就活生も数多く見てきた。

当然、その時は面接官に拾ってもらえないのだけれど。

 

他方、面接官も自社で働く優秀な人材を選別する、あるいは優秀な人材に自社を選択してもらうために適切なキャッチボールが出来ているかと言えば、懐疑的に思っている。

前者に関しては、面接官と就活生との間と言うよりも、面接官とその企業との間で意思疎通が出来ていないのかもしれない。

人事以外の部署に属していると謂えど、面接の意味を理解し、自社の将来の発展を考えるならば、質問はもっと慎重に意義のあるものを選ぶと思うのだけれど。

 

尚、一次面接と言う名の学歴フィルターや建前上の平等主義など止めてしまえ、と個人的には思っている。

 

後者に関しては、就活生サイドと同様、「自社を選んで!」という思いが強過ぎて、受け取る側など見ずに言葉を発しているのだと感じている。

 

そんなことを考えながら、人生の大先輩の言葉に何度も頷きながら目を輝かせて見せる。

これがこの社会での生存戦略なのだと理解しているつもりでも、自分の行為への嫌悪感が拭えないし、それが透けて見えていたから、人事面接、最終面接辺りで悉く落とされたのだと思う。

 

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肩凝りがきつくなってきたので、気が向いたら続き思考しない人々を書きます。

 

ただ、世の中の人はコミュニケーションにそれほど問題意識を持っていないようだし、何より生活に困っていないようだ。

私が相当神経質なだけらしいけれど(眠れないし)。